杏莉は高まる感情を必死に抑え込み、




「ごめんねっ…!大丈夫っ?」



と声をかけて、彼女の落とした教科書類を拾おうと腰を屈めた





麗華は驚いた表情で杏莉を見ると



「…え?」



と声を漏らした




「ん?どうかした?」



「っえ、いや、何でもないです!」



麗華はすぐさま視線を下に戻した





杏莉は彼女が落とした教科書類を手に取り、呆気に取られた



ーーーフリをした




その視線に気づいた麗華は苦い表情を浮かべ、俯く



「…あなた、いじめられてるの…?」





麗華の持っている教科書類全てに


「しね」「きえろ」「ごみ」「びっち」



などと乱雑に書かれている




これはいじめ以外の何ものでもないだろう





「…、気にしないで…拾ってくれてありがとうっ…」




麗華は杏莉の手にあった教科書をひったくるとそのままその場を後にした



いや、後にしようとした