それもそのはず。
私のカーストでは、茅野くんに話しかけることすら許されないのだから。
学校特有のカースト制度。
カースト上位の者には、下位の者は話しかけることすら許されない。
そんなことをしようものなら。
上位の人に叩き潰されてしまう。
下位の者は下位の者同士ひっそり生きていくのが真っ当なのだ。
茅野くんは言わずもがな上位の人間。
それも上位でも上の方。
王様に近い立ち位置の人。
絶対的ゆるがない関係値。
話題のストライクゾーンが広くて。
どんな話にもついていくことができる。
誰にでも平等に分け隔てなく接する姿勢は。
カースト下位の人間にも好印象で。
彼の事を嫌う人は。
彼の事を妬ましく思う人ぐらいだった。
そんな彼に、私は恋をしている。
叶うことのない見つめるだけの恋。
でも、それでも満足だった。
誰かに恋をしている。
その相手を見つめる。
それだけで私は幸せだった。
多くは望まない。
ただ今日も。
笑顔の茅野くんが見られたらそれでいい。
そう控えめに恋をしてきた。
なのにもかかわらず。
これは運命のいたずらなのか。