「図書委員だよ。」


「ああ、図書ね。女子誰だっけ?」


「えっと……、たしか藤村さんじゃない?」


自分の名前が出てきて心臓が嫌な音を立てる。
他人の会話の中で自分の名前が挙がるのって、あんまりいい気分じゃないや。


「藤村さん?ああ、あの地味な子。」


「そうそう、ひっつめ髪の。超暗い子。」


「あの子が一緒なら大丈夫か。」


「間違ってもあの子と茅野がどうかなることないって。」


「だよね~、つうか藤村さんって顔と名前合ってなくね?」


「わかる!名前負けしすぎて可哀想っていうか?」


「うけるっ!茅野と並んだら超不釣り合いなんだけど。」


「並ぶこととかから、あり得ないし。」


「あははははっ!!」


こっちに曲がってくる女子たちを避けるために勢いよく階段を駆け降りる。
どくどく、どくどく心臓が脈打つ。
血の気が引いていく感じがする。
全身が、冷たい。
感覚、ない。がくがくする。


名前の事、これまでいろんな人に言われてきた。
名前負けしてるって、そんな事私が一番よく知ってる。