【完】放課後、図書室で。

な、な、何が起きて……。


目の前には綺麗な顔がある。
少し色素の薄い茶色の瞳。
きめ細やかな白い肌。
さらさら揺れる髪の毛は、石鹸の匂いがする。


頬に感触がする。
両方の頬を何かで包んでいるような。


これは、こ……れって。
か、かか茅野くんの手!?


私の両頬には茅野くんの手が添えられ。
ぐいっと茅野くんの方を向かせられている。
目の前の茅野くんは少し不機嫌そうで。
眉間に皺をよせていた。


ち、ちかっい。
顔に茅野くんの息が当たる。
や、やだっ……。


「藤村さ、話する時くらいこっち見ろ。」


逸らすことのできない視線に顔が熱くなる。
や、やだっ。
茅野くんにこんな不細工な顔見られたくない。


居たたまれなくなって目を閉じる。
こんな至近距離で見られたら隠せない……。


頬にはそばかすがあるし。
髪の毛は剛毛でひっつめ髪だし。
目は奥二重で腫れぼったい。
肌だって茅野くんみたいに綺麗じゃない。