距離、30cmもない……かも。
近い距離にドキドキする。


本を読む瞬間、好きな人と隣の席。
ときめきの要素が多くて。
心臓がキャパオーバーかもしれない……。


本を開いて内容に集中しようとするけど。
隣が気になって集中できない。
右半身だけ熱い……。


その時、図書室のドアが開いた。


よかった……誰か来てくれて。
今二人きりが続いたら心臓持たなかったよ。


ドアのほうに視線を向けると。
そこにはいつも茅野くんと一緒にいる上位のメンバーがいた。


「よう、茅野!」


「お前ら来るなって言っただろ。」


「冷たいなあ~、会いに来たのに!」


上位のメンバーの人は受け付け台の上に座ったり寄りかかったりで。
あっという間に茅野くんの周りを埋め尽くした。
私の事は視界に入っていないのか。
全く気にせずに覆い囲んでいた。


……どうしよう。
占領されちゃったら本借りに来た人の対応出来ない。
ひとりの子が記入する冊子の上に手を乗せていて。
紙に書くこともできなくなっていた。
ほんとうにどうしよう、困った。