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私はもう病室になんていたくなくて、一刻も早く蓮さんと過ごしたあの部屋に戻りたくて、先生たちの制止を振り切り退院することを決めた。



「佐々本さん、落ち着いたらリハビリに通うようにしてくださいね」


先生の話に返事もせず、ただ頭を下げて病室を後にした。


「佐々本さん、きっと病院の外には報道陣がたくさんいます。
近くに車を止めておりますので、そちらへたどり着くまで少しの間頑張りましょう」

園田さんの話にもただ首を縦に振るだけだ。


もう…声を出すことでさえ嫌なの。
蓮さんに会いたい…


会いたいよ蓮さん。





「来たぞー!
佐々本小春さんですよね。
お兄さんに罪を被せた警察に対して、今のお気持ちは!」

「今大人気となっていますが、天使と呼ばれる小春さんから視聴者へメッセージを!」

「怪我の容態は!」

「昨日の事件についてコメントを!」

「好きな男性がいるとのことですが、どういった方なのでしょうか!」



溢れんばかりの報道陣が、車イスの私と園田さんたちを取り囲む。