試しにテレビの電源を入れてみると、どのニュース番組でも冤罪のことが報じられていた。


『警察が真犯人の証拠を隠蔽』
『心優しい青年に罪を被せていた』
『冤罪被害の男性、1年前に刑務所の中で病死』
『副警視総監の息子が殺人鬼だった』


…私がずっと見たかったニュース。


やっと…やっとだよお兄ちゃん
やっと安心して眠れるね

こんなに時間がかかってしまってごめんね…




でも、大好きなお兄ちゃんのことをこれ以上酷く言われることもなくなるんだ…


私はそのことが本当に嬉しくて、溢れ出す涙が止められなかった。





『さて、現在○○病院の前に来ております。
たくさんの報道陣が押しかけておりますが、佐々本小春さんの姿は見えません』


『お兄さんの無実を訴え続けていた小春さんですが、冤罪が明らかになった今、どのような気持ちなのでしょうか』


『誘拐された女の子を助けた兄と、道路に飛び出した男の子を助けた妹ですか。

真面目に生きてきたのに、警察が罪を被せたことによって二人の人生は大きく変わっていますからねえ。

警察がこのような事態を引き起こすなど前代未聞ですよ』



リポーターや、司会者、解説者がいろんなことを言っている。



だけど…、そのどこにも、私たち兄妹に対して劣悪な報道ばかりしてきたことへの謝罪がなかった。



まぁ…この人たちはそれが仕事だしね…

仕方ないとは思いつつも、やっぱり許せないでいる小春だった。