「え?

…っ!」



そう言うと、小春は俺に抱きついた。

恐る恐る俺の腰に回された細い腕は、寒いのか、緊張しているのか、やっぱりかすかに震えていて。

それでもその腕は、俺が離れていかないよう、ぎゅっと回されていた。



「…なにやってんだよ」

「あなたが落ち着かないって言うから落ち着かせてあげようと思ったんです。


……ていうのは嘘で、ずっと寂しかったから私がこうしたかったんです」



俺はたまらなくなって小春の華奢な身体を抱き寄せた。



どうして、彼女はこんな目にあっているのだろう。
こんなにもいい子なのに、どうして彼女ばかり苦しまなければならないんだろう。


俺みたいなやつにすがりたくなってしまうくらい寂しい思いをして生きなければならないのだろう。


小春のことを思うと、胸が苦しくてどうしようもなくなる蓮だった。




「俺でよかったら…いつでもこうしてやるよ。
おまえがもう嫌だって言うまでずっと」


「…嫌だなんて…そんなの一生思わないと思います。
今、私すごく幸せです」




ーーーああ…こいつが好きだ。
たまらなく好きだ。

俺は、こいつのためになら命だってかけよう、そう思った。