「安心しろ。
まだおまえの映像は上に渡していないし、俺以外誰にも見せていない。
そしてこれからも見せるつもりは一切ない。

でも俺はこれまで何人もの女を売ってきた。
そのせいでたくさんの女たちがクソジジイたちの被害に遭った」


「…」


「俺は…最低な人間だ。
あそこから逃げることだってできたのに、それをせずに犯罪に手を染め続けた。

そうやって人の不幸の上に生きてきた。
自分を最低だと思いつつも、女性たちの苦しみを、他人事のように思って見過ごしてきた」


「…」



「けど…佐々本小春。
おまえだけは、どうしてもあんなジジイたちに渡したくないんだ。

この2ヶ月ずっと見てきて、毎日ひとりで戦い続けているおまえの姿に…
こんな一生懸命な子を売り飛ばすなんてしてはいけない、したくないって思ったんだ。


それに…あんたのお兄さんは無実だと思う。
おまえを監視していたお詫びと言ってはなんだが…無実を証明して、おまえをこの地獄のような日々から解放してやりたい」


「…っ!」



「君のおかげで、俺はあの組織から出る決意ができた。
真犯人を見つけられたら、俺は警察に自首するつもりだ。

もう誰も君に手出しさせないよう、組織の奴ら全員を塀の中に入れてみせる。

だから、俺のことは嫌だろうけど…
俺を信じて待っていてほしい」