蓮さんの証言や証拠から組織は壊滅に追い込まれ、犯罪に加担していたVIPと呼ばれていた政治家などの大物たちも、すべて逮捕された。

このニュースは連日世間を騒がせ、たくさんの逮捕者を出したけれど、これまで黙って耐えることしかできなかった被害女性達の救済もはじまり、蓮さんの望んだ結果となっていった。




そして蓮さん自身は、小さい頃に養子として引き取られてから強要されていたこともあり、情状酌量による減刑が認められた。

もちろんそれに対して反発する声も挙がったが、裁判でもそれが覆ることはなく、蓮さん本人も罰金刑ではなく懲役刑を望んだ姿勢から、蓮さんを応援する世間の声も多く上がった。




私はというと、会社を辞めて園田さんと同じマンションに引っ越した。

園田さんだけでなく、休みを利用して松村さんなどの警護会社の方々がたくさん会いにきてくださり、賑やかな毎日を過ごした。


けれど、蓮さんのいない生活はやっぱりどこか寂しかった。

蓮さんと結婚もしておらず同棲期間も短い私は面会の許可をもらうことができず、手紙のみのやり取りしかできなかった。



冤罪による国からの補償金と、これまで被害者家族に払い続けていた賠償金や慰謝料の返金、そして実家に放火した犯人も捕まったことから、その犯人から払われた賠償金で、暫くはお金に困らないほどの大金を手にすることとなった。


もちろん、こんなお金嬉しくないし積極的に使いたくはなかったが、マンションの購入資金と引越し資金、改築資金にあて、今まで作ることのできなかった家族のお墓を建てるのにも使用した。

それでもまだまだ余るほどの金額だったので、それは出来る限り使わずに生活することを蓮さんと手紙で話し合い、そう決めた。




リハビリをがんばり、ようやく1人でも自然に生活が送れるようになってきた頃、蓮さんの仮釈放が決まった。