「いえ、勝手ながら私は佐々本さんをお守りしているうちに、妹のように感じておりました。
ですから、契約期間が過ぎてからもお会いして頂けると嬉しいんです!

それに、うちのマンションは老後のことを考えてバリアフリー設計になっています。

僭越ですが、今のご自宅でお一人で生活するのは不可能かと思われます…
お二人の思い出の詰まった部屋だとは思いますが、佐々本さんにとっても、うちのマンションは高物件じゃないかと思うんです。


加えて、生活してみてからキッチンの高さや手すりの有無も調整してもらえるようなシステムもあります。
マンション自体が契約している建築会社にお願いすれば、安く改装してもらうこともできるので、車椅子での生活も楽になるはずです。

そうすれば、佐々本さんがお料理を作ることも可能になると思うのですが…」


「そのキッチンの高さの調整って…車椅子の私用に低くしてもらえるってことですか?」


「はい。現に車椅子の方もすでに住まわれています」



「小春、園田さんにお願いしよう?

俺もずっと不安だったんだ。ヘルパーさんを頼むにしてもお金がかかるし、何より小春も信頼できる人じゃないとしんどいだろ?

俺も側にいられないし…ここは園田さんに甘えよう?

俺にごはん作ってくれるんだろ?」



小春は目を閉じて息を吸い込むと、決心がついたかのようにすっきりとした表情で顔を上げた。


「園田さん、私のためにたくさん考えてくださってありがとうございます!
たくさん迷惑かけてしまうと思いますが、これからもよろしくお願いします」


「まあ!じゃあこれから長い付き合いになりそうですね」


「はい!私も園田さんとずっと一緒にいたかったので嬉しいです」


「その言い方なんか妬けるなあ。
俺が戻ってきたとき園田さんに負けたらどうしよう」


俺がそう嘆くと小春と園田さんは2人で顔を見合わせて笑い合っていた。

よかった、小春に俺以外に安心できる相手ができて。





ーーそして俺は現場に到着していた警察に逮捕された