「では昨日の事件についてもコメントお願いします!」
「っ!」
先程まであんなに堂々としていたのに、途端に小春の表情は曇った。
…余程、昨日のことが怖かったのだろう。
今度こそ、俺が小春を助ける番だ。
「その質問には、私からお答えいたします。」
「蓮さん…」
不安そうに俺を見る小春に、「大丈夫」と頷いて見せた。
「彼女は、先程話があったように、足をうまく動かせません。
そのような状況で、ただでさえ自分より力の強い男に迫られれば、とても恐怖を感じたでしょう…
私のような性犯罪に加担していた者が言っていい言葉ではないかもしれませんが、正直、彼女を今も苦しめている男のことが本当に憎いです。
天使だなんだと聞こえの良い言葉で崇めても、事実彼女は1人の人間です。彼女にも意思があります。思いがあります。彼女の気持ちを無視して自分勝手な思いを受け入れてもらおうなど考えないでください。
そして今後一切、そういう目的で彼女には近づかないでいただきたい、そう思います。
…私と違って、彼女は悪い事など1つもしていません。これ以上彼女を苦しめることはしないでください」
…こんなこと言ったら尚更被害者への誠意が感じられなくなるとか言われそうだな。
けれどそれでもいいと思ってしまった。
