「では天使と呼ばれる小春さんから視聴者へメッセージを!」
「私は…天使などではありません。
醜い部分だってもちろん持っています。
世界中の人に幸せになってほしい、そのために命を張ってもいい……そういう方を天使と呼ぶのでしょう?
私はそんなこと思えません。
でももし…天使になることができるのなら。
蓮さんや、今回私を命がけで守ってくれた警備会社の方々をお守りしたいです。」
いつもは自信なさげな小春が、堂々と話している。
何台ものカメラを向けられ、鋭い視線を向けられても、それでも強い意志を持って答えている。
…小春、ありがとう。
「では佐々本さん!怪我の容態は」
「先程申し上げましたが、今後は車椅子で生活を送らなければならないそうです。
リハビリをすれば多少は動かせるようになるそうですが、歩くことはもう不可能だそうです。
しかし、一緒に事故に遭った男の子や、そのご家族には罪悪感を抱いて欲しくはありません。
たしかに歩くことはできなくなりましが、私には彼がいてくれます。
だから、あの男の子には気にしないで幸せに生活してほしいんです。
気にしなくていいから、もう今度は道路に飛び出したりしたらダメだよって伝えたいです」
小春の言葉に、会場は「天使だ…やっぱり天使だった」と沸き立っている。
それに対して、小春は少し困ったような顔をして俺に笑いかけた。
「そんな天使と言われる佐々本さんはなぜ犯罪者である彼とお付き合いしようと思われたのですか」
小春への質問は留まることを知らず次々と質問が飛ぶ。
だが、どの質問にも小春は動じることなく答えていった。
