「被害者達に本当に申し訳ないと思っているんですか!?」
「都合が良すぎだろ!」
予想通り、報道陣から罵声が飛び交う。
仕方ない。これもすべて覚悟の上だ…俺はそうされるような事をしているんだ。
「あの!!
…私、怪我で立てなくて。
座ったままで申し訳ないのですが、みなさんに、この場をお借りして私からもよろしいでしょうか?」
「……小春?」
俺が小春を見ると、小春は俺の手をぎゅっと握り返してきた。
「これまで逃げてきましたが、皆さまからの質問にお答えしたいと思います。
なにか…私に質問はありますか?」
小春のその発言は、俺への非難を一切打ち切った。
本当は辛いはずなのに…話の矛先を自分に向けさせて俺を守って……
「ではまずお兄さんに罪を被せた警察について、どう思われますか?」
一番前に座っている記者がすかさず質問を投げかける。
「兄に罪を被せた警察に対して、私はもちろん腹立たしく思っています。
ひどい嫌がらせだって毎日受けました。
…それに、私の大切な兄は、冷たい刑務所の中で1人で亡くなってしまいました。
私は見送ることすらできず、やっと会えたときには冷たく硬くなってました…。
真犯人をもちろん恨みました。
兄の無罪を信じてくれなかった世間も恨みました。
でも…こんな事態になっていなければ、蓮さんとこうしてお付き合いすることもできませんでした。
ですから一概には、今回のことすべて消えて無くなってしまえばいいとは言えません。」
小春は一切動じず、記者の目を見て強く語る。
…俺は、小春を守ると言っておきながら……大事な時には側にいてやれないし、小春が一番辛いときに逆に守ってもらうなんて…
