それから、高野くんと私は移動教室の席替えでも隣の席になり…

「高野くん、よろしくね」

ぺこ、と高野くんは喋らず、軽く会釈をした。

高野くんってこんなにいい匂いしたんだっけ、髪の毛さらさらだな、、

「んじゃ、どう公式を使うかを…森川!」

「ん?え、はい!」

え、どうしよう。やばい。全然聞いてなかった…。

「えと…」

困っていたら、高野くんがさっとノートを見せてきた。意外と字汚いんだなとか思うとちょっと笑っちゃう。

「1番の公式です」

「そうだな、この公式を使って…」

今、さりげなく高野くん私のこと助けてくれたよね??

「高野くんありがと」

「聞いてろよ。授業」

久しぶりに聞いた高野くんの声は低くて落ち着く声だった。

「うん、ごめんね、ありがと」

その日の授業は全部頭に入ってこなかった。

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