馬車はニーナが見つけ、壊れていたところはイルが魔法で直した。


乗り込んだ瞬間、レイがあっと声をあげる。



「アレン!」

「ん?」


彼女の呼び掛けに次に乗り込んだアレンが首を傾げた。

レイは綺麗に畳んだ何かを腕に抱え、アレンを手招きする。



「ね、上着!馬車に置いてたのよ、ほら。忘れてたわ、ありがとう」


「…あぁ、うん。でもレイが着てて」


「え?どうして??」



アレンは無言でレイを指差した。


レイは改めて自分を見てみる。



「………あ」


ドレスがボロボロ。


ちょっと際どいところも何ヵ所かある。



「……お、お言葉に甘えさせて頂きます」


「うん」



ちゃっかりレイの隣を陣取りどかっと座ったアレンに、レイは赤面しながら頭を下げた。