「……な、んで…」


クウェンナの横に並んだ艶やかな黒い長髪を持つ女性。


アレンは彼女を見つめながら、驚愕の表情を浮かべていた。




「…ふふ。そんなに怖い?」




女性──闇王ダーチェスはクスクス笑って楽しそうにアレンへ話しかける。


クウェンナもしてやったりな顔をしてアレンを見ていた。




「……闇王…」


「闇王ダーチェス様、だ!」



アレンの呟きを耳にしたクウェンナがその言葉を訂正する。

しかしアレンはダーチェスを見ているだけで、何も答えなかった。


そんな中アレンに見られているのを意識しているのか、ダーチェスはわざとらしく黒髪をサラリと揺らしクウェンナに目を向ける。



「……貴方のせいで私が闇王だってバレてるじゃない」


その言葉に一気にクウェンナが青ざめた。





「……あ、あの。すみません…」


「…まぁいいわ。いずれわかっちゃうことだったし。」



どもるクウェンナに冷たく返した美しい女性は黒と銀の瞳を細め、再びアレンに視線を移した。