『やめなさい!』



クウェンナの手のひらの向こうに、精霊が一生懸命叫んでいるのが見えた。


羽根をダーチェスにわしづかみにされ、怒鳴っている。




『あら。クウェンナはまだ掟を破っていないわ。あれも違反なんてしてない筈よ』


『そうだけど…何て酷いこと!』


ダーチェスの言葉に精霊は暴れながらまた怒る。



『酷いのは人間でなくて?人間のせいであの子は死にたいなんて言ってるのよ』


『…いつか仲間ができる!だから諦めないでっ』




必死な虹の精霊の叫びに、アレンは表情を歪ませた。


それを見てクウェンナとダーチェスが同時ににやつく。





『安心しなさい。仲間が出来たりしても私が壊してあげる。
貴方は死にたいとだけ思っていればいいの。

…死ぬのは、私たちが現れるまでお預けだけどね』



妖しく艶やかに笑みを浮かべ、色っぽい声で言うダーチェス。




『仲間なんて作ったら今より絶望に陥れられるだけだよアレン。』



そう言いながらアレンの額に手のひらをつけたクウェンナ。











『俺とあの方が片っ端から壊してやるよ。

絶望のどん底に落ちてから死なせてあげる』













その直後クウェンナが何か呪文を呟き、



激しい頭痛と共に、




アレンの意識は











闇に落ちていった─────