「…アレン?」



扉のところから微かに中に入ったレイは、アレンの様子を見て首を傾げた。



真っ青になって頭を抱えて、思い詰めた表情をしている。




あのアレンの表情は大抵辛いことを思い出す時や悩み事がある時のものだ。







「………レイ…」






ふとアレンが顔を上げ、名前を呼んだ。



熱で紅潮した頬と痛みで潤んだ瞳に、意味もなく心臓を跳ね上がらせるレイ。





「な、なぁに?どうしたの??」



バクバク鳴る心臓を押さえながら、レイは何とかアレンを見続け聞き返すことに成功した。



私って成長した、と考える彼女だが、何が成長したのかはわからない。






「………マケドニス。マケドニス、呼んで…」





消え入りそうな声でそう頼んだアレンは、女性二人の遺体から目を反らし口元を片手で塞いだ。



冷や汗が額に浮かんでいる。



酷い頭痛と残酷な光景に、だんだん吐き気がしてきたのだ。