レイは医師達に挨拶すると、寝台に横たわったアレンに目を移す。




穏やかな表情。

しかし顔色は悪く、頬だけ紅潮している。


酸素マスクは一度途絶えた、今は浅い弱い呼吸を助け、繋がる点滴の管も彼の弱った身体を支えている。


右足にはしっかりと包帯が巻かれていた。






「…熱、下がりましたか?」


アレンにゆっくりと歩み寄ったレイは、管のついていない彼の右手を握ると主治医に訊ねる。


愛しい人の大好きな手は、じんわりと汗が滲んでいた。



「えぇ、まだ微熱はあるけどマシにはなったわ。」


クナルはそう言うとアレンの傍らにつき、長めの前髪を優しく流すと彼の額に手を宛てる。

その後すぐ傍にある本格的な医療セットから真新しいタオルを出して、氷水に浸すとそこに乗せた。



「私は少し休むわ。もうすぐルシアンが交代しに来るから、気がすんだら彼女に言ってね」


「…はい。クナルさん、ありがとう」


「いいえ。心配な気持ちは痛い程わかるわ」


「クナルさんもマケドニスに付きっきりだったものね」



そこでレイはやっと笑った。


クナルはちょっと頬を染めると、何かモゴモゴ言って治療室を去る。