─────苦しい。



身体が熱い。




ドクン、ドクン、ドクン…


と、早鐘のように打つ心臓の鼓動がやけに大きく聞こえる。




息が、乱れて。



力が入らない。






柔らかい芝生の上に倒れたまま、アレンは動けずにいた。




何か大きなものが全身を這いずりまわるような、渦巻くような。




そんな感覚に目眩がする。







(ギルク達が、叫んでる…)




答えたい。




でもできない。





荒い呼吸が邪魔して、言葉を発せれない。








パキパキと音を鳴らし、氷が自分に迫っていた。






───…こんなに熱いんだ。



溶けるかもな…。






ぼんやりとそんなことを考える。







しかし、違った。









最初に、足首。



ヒヤリと冷たいものが触れ、それが絡み付いていく。





それがだんだん心臓に向かい上がって来る。





そしてゆっくりと、あのサーベルが貫通した右足にも、その細かな枝を伸ばしていった。




当然、激痛が襲い掛かる。