「………え。何だ?アレン様??」



────状況がよくわからない。



マケドニスはとりあえず主人の名を呼ぶ。



「………………………。」




…が、やはり返事はない。


マケドニスはパニックに陥った。



「えっ、待てよ。今確かにアレン様が言うように氷を砕いて、…ていうか城の庭園にいたのに…」



ブツブツ呟き怪しいマケドニス。


悩みに悩んだ挙げ句。






「………まさかあの光で移動させられた?」



アレンの意思とは関係なく、だが。


移動魔法を浴びたのかな、と結論付けた。





「…参ったな。俺は魔法を使えないのに…」




と、藍色の髪を掻き困り果てたマケドニスが突っ立っていると、彼のいるすぐそばの家の扉が開いた。


ハッと振り返ると、小さな男の子が一人で出てきて中にいる女性に手を振っていた。





…ごく普通の光景、なのだが。




その男の子の髪色──黒色か灰色かよくわからない、曖昧な色──がマケドニスの目を釘付けにした。






「…アレン様?」