「………あ、アレン様…??」


マケドニスは呆然と主人を見つめる。


ルルアンが驚き叫び、リルムが泣いて喚いても、アレンは見向きもしなかった。



その瞳に怒りを宿し、ブエノルから目を離さない。




そして、彼はゆっくり歩み始めた。



一歩進むたび、その足元に氷が生まれる。


その場の気温が一気に氷点下まで落ち、樹や花が凍りついていた。




「ヒッ…」


小さく悲鳴をあげたブエノルは、情けなく怯えているものの逃げようとはしない。


────否、逃げれない。


金縛りにあったかのように、体が動かないのだ。




「…や、やめろ。私を殺せば国家問題に繋がるぞ!」


声を出すので精一杯なブエノルは、弱々しくそう喚く。


しかし彼を見るアレンは何も言わなかった。






───アレンの無言は、不機嫌な証拠。



だがこれは不機嫌なんてものでは済まされない。





マケドニスは慌てて駆け寄ろうとする。