「……始まってしまった」





長い髪を揺らし、女性が囁いた。



彼女がいるのは白く輝く不思議な空間。






彼女以外は、誰もいない。







「……彼は争いなど、望んでいないのに。可哀想に…運命には逆らえない」




一人で呟く彼女は不意に白い腕を前に差し出した。


手のひらを上に向けると、そこに柔らかい光が生まれる。




しばらくそれを見ていた女性はフッと目を細めた。




「…どうか、間に合いますように」




瞳を閉じて、静かに祈る。



再び開いたその目は、奇妙ともいえる不思議なオッドアイだった。



片方は金色。


片方は───虹色。





「何もできないとは辛いものですね」




女性は光に話しかけた。


光は返事をするかのようにゆらゆらと揺らめく。






「………幸運を祈っていますわ。

もしかしたら私も行かなければいけないかもしれません……。」





儚げに微笑んだ女性は再び目を閉じた。




何かを待つように。




確実に未来にある、対面を見据えて─────…。