ガタン、ゴトン…

 ガタン、ゴトン…


揺れる白い馬車。

中に乗り込んでいるのは、アレンとコニス、サリルナ教皇とその側近の四人。




『あの子の故郷に行ってみないかしら?』



そう言われたアレンは最初は戸惑った。

会談に来たのだし、そんなことをしてもいいのか。

そんな考えのアレンの心をサリルナ教皇は揺さぶる。


『ちょっとだけよ。馬車で二時間で着くし、ナティアについて教えてあげるわ』


そんな教皇の言葉に、ついにはアレンも誘惑に負けた。


母の故郷。


とてつもなく気になる。



本来ならマケドニスが付き添うのだが、彼は船酔いもあって長旅に疲れている。

本人は行くと言い張ったが、アレンは側近の身体を労りそれを拒否した。

その代わり、あのメンバーでマケドニスの次に信頼できるコニスをお供にしたのだ。


ラークが不満をぶちまけていたが、アレンはことごとくそれを無視した。