「…レイ、お願い。少しでいいの。戻って来て…。私…、一人じゃ耐えられないわ…。」
急に顔をあげた母は自分にすがり付いて懇願しだす。
レイはその頼みに目を伏せた。
(…城から離れるってこと…?そしたら、アレンとは…)
瞬間、さっき聞いた使用人の噂話を思い出してしまった。
「………レイ?」
レイの表情が歪んだのを見て、セレナは潤んだ瞳で娘を見る。
レイも泣きそうな潤んだ瞳で母を見返した。
そして、さっきから消えてくれない不安を母に打ち明ける。
「…お母さん。私、どうしよう。信じなきゃ駄目ってわかってるのに…。
アレンのこと、ちょっと疑っちゃってるの…。
……信じれないの…。」


