「お母さん…」
ローゼが亡くなった時、一番泣いて一番悲しんだ母。
まだ、立ち直っていないのだ。
「…怖いのよ。ロンがお父さんみたいに急に逝っちゃうんじゃないかって。いつもみたいに街で待ってたら、またなくしちゃうんじゃないかって…。」
そう言うセレナは震えていた。
自身の腕で体を抱きしめ、その震えを止めようとしている。
何も言えなくなるレイ。
ふとあの夢の父の言葉が頭を過った。
────『手を、離すなよ。離れちゃ駄目だ。』
(…お父さん、こういうことなの?)
お母さんから離れるなってこと??
そんなことを考えていると、いきなり母は顔をあげた。
レイはかなり驚く。


