「…アレン?」

彼の隣でレイが顔を覗き込む。


アレンはむすっとしたまま考えに耽っていた。



(…どうしよう。)


あの他国と関わりたがらないリシェラルク皇国の教皇から会談の要請が来たのだ。

よっぽどのことだろうから、これは受けなくてはいけない。


しかしそれではまずい。


リシェラルク皇国で会談なんて、日帰りでできるものじゃないのだ。

移動魔法があるが、移動魔法を使える魔法軍隊の人たちはリシェラルク皇国なんて遠いところまでは無理だ。

イルならいけるだろうけど、彼女を連れて行くわけにはいかない。


…城に誰か信用できる人を残さなきゃいけないから。


アレン自身も行けるだろうけど、今魔法を使うのは母に言われたから出来ない。

それにそんな長距離な移動魔法なんてやったことがない。

慣れないそんなことをすれば向こうで倒れてしまうかもしれないし、それだけは絶対に嫌だ。




そして、一番の問題は───




「アレンったら。」




この目の前の美少女、レイだ。