「…すみません。」

主人の様子を見て側近は大人しく謝る。


アレンが喋らない。

これはやばい。


マケドニスは数ヵ月前のカルアシティの視察の悪夢を思い出して冷や汗をかき出した。



「急に何なのかしら。」

レイはただひたすらに不思議そうだ。

アレンのとばっちりを受けなかった彼女は暢気なもんである。


マケドニスはレイを羨ましく思った。


勇気を振り絞って、アレンに話しかける。


「…あちらの国で会談したいとのことですが…、どうしますか…??」

静かに、触発しないように気を付ける。

アレンは淡い水色のソファーに腰を沈めて溜め息をついた。


「…行くしかねぇだろ。」


うわぁ、低い。


アレンの不機嫌の声はレイも気付く程に低かった。