アレンは顔だけ布団から出したレイの唇に人差し指を宛て、静かにするように伝える。
彼女が頷いて黙ったのを確認してから、無言で半開きの扉に近付いた。
気配を消して、バレないようにする。
そっと扉を開き、廊下を見渡した。
「………いない…」
確かにさっき、何かの気配がした。
誰なのかはわからないが、部屋を覗き見ていた筈だ。
アレンは廊下をしばらく睨んだ後、扉を閉めて溜め息を吐き出した。
レイは自分の傍に戻ってきたアレンに首を傾げる。
「どうしたの?」
「…別に。何でもない。」
そう答えた声は低く、明らかに不機嫌。
「アレン?」
レイが体を起こし、布団がずり落ちた。
アレンはそれを肩に掛け直してやる。
「今日は執務は休むか?」
「…ううん、もう大丈夫。…アレンが、来てくれたから…。」
ちょっと頬を赤く染めて言うレイに、アレンはまた優しい微笑みを向けた。
「…そっか。よかった。でも無理はするなよ。」
「…うん、ありがとう。」
お礼を言ったレイの頭を撫でてやる。
レイは嬉しそうに、照れくさそうに笑った。


