レヴィオル国の首都モスフィックタウン。


その中心に聳え立つ真っ白な城で、青年は難しい顔をして一枚の紙を睨んでいた。




青年の名はアレン=ブロドニス。


巷(ちまた)で『イケメン勇者様』と呼ばれるこの国の国王だ。



レヴィオル国の国王は国で一番強い者が『勇者』と称されその地位に即位する。


アレンは弱冠17歳で、半年前にその勇者になったのだった。



そして────



「…アレン様」

「………」

「アレン様?」

「………」

「アレン様っ!!」


「…うわっ!?」



アレンは耳元で怒鳴られてはじめて反応した。

灰色か黒色かよくわからない曖昧な色の髪がさらりと揺れる。

驚いて見上げると。



「…マケドニス、ビックリさせんな」


アレンの側近、つまり勇者の側近の青年マケドニスが立っていた。


藍色の髪と瞳を持つ彼、マケドニス=ヤルタはアレンと同じカルアシティ出身。


腕の立つ戦士で真面目な為、そこを買われて勇者の側近という大役に23歳の若さで抜擢された。