「…母さんは、この魔力が何なのか知ってるんだな」


ベッドに座りながら壁に背を預け、アレンはまた天井を見上げた。


『えぇ。それは私から受け継がれた魔力だから…。』


「えっ?」


母の言葉に思い切り上を向いたアレンは首が痛くなってちょっと顔をしかめる。


「…母さんから、受け継がれた?でも、母さんの魔力は…普通の魔法使いので…」


『本来はあの黄金の魔力よ。力を抑えて普通の魔法使いの分だけ解放してたの。』


そこでアレンは疑問に思った。

それならどうして…


「…あの時、魔王を倒せないなんて…?」


『…それが運命だったから。私が魔力を解放しても、私は死ぬことになってたのよ。それにそれなら…』


母の声は一度言葉を切った。

そして……




『…あの人のところに、行けると思って…。』