翌朝。


「アレン!もう8時よ!散歩行きましょ!」

いつもの6時に起きてずっと待っていたレイは、アレンの部屋の前で声を張り上げた。


中から返事はない。

まだ寝ているようだ。


「もうっ。」


膨れたレイはポケットから鍵を取り出した。

何ヵ月か前にアレンから渡されていた合鍵だ。

鍵穴に差し込んで回すと、カチャッと音を立てて鍵が開いた。


「アレン、入るわよ」


一応一言断ってから、白い扉のドアノブを押す。

中に入ると、部屋の右側にあるベッドでやっぱり寝ていた。


「…アレンったら」


そろそろと近づいてベッドの傍らに座ると、すぅすぅ寝息を立てて体を横にして眠るアレンを眺める。


(…かわいい)


そっと手を握る。

すると瞼がピクッと動いた。


「…ん」

「アレン」


目を開けようとしないアレンに声をかける。

レイの声に反応して、アレンは瞼を上げた。


「……レイ」

「おはよう、アレン」

「…おはよう」


キラキラ笑顔を向けられたアレンは目を擦ると体を起こした。