こんな、私好きになるはずがない。
久保田さんは、短髪で少しクセ毛があるけど、大きい黒目で誰かの心を見透かしているような目をしている。
その眼差しは、私は好きだ。また、一般的にいる男性よりは、顔は整えられている。
そう、私とはまるで違うのだ。根本的に。
考え込んでいたら、誰かの声がした。
「……花野さん、花野さん」
目の前には久保田さんがいた。
久保田さんの両手が私の両肩にあった。
私の身体を揺さぶって、私の反応をないことに心配しているようだった。
真剣に私を見据えていた。いつもの大きい目元がより大きくなっていた。
「…あ、なんでもないです。すいません。ご迷惑をお掛けして。戻ります」

