【短編】あなたとの距離、近くて遠い


「あ、あの。失礼かもしれないけど、年齢聞いてもいいですか」

 モジモジしながらも私は久保田さんを見た。

すると、久保田さんは呆然と私を見て、驚いた表情をしていた。

数秒、お互い黙っていた。

 数分後、久保田さんは豪快に笑っていた。

「あはは……ごめん。花野さん。あなたのことを馬鹿にしている訳ではないんです。ただ、素直に聞いてくる患者さんは初めてなので、驚いちゃって」

 久保田さんは目に涙を浮かべるほど、笑っていた。

そんなに笑わなくてもいいのに、もう。でも、久保田さんが笑う姿、初めてみたな。