そんな不安のなか、駅がある方向からけたたましい音が響いた。

 これは明らかに電車がぶつかった音なんじゃないのか。

 とうとう大惨事が起きたのか。

 俺と一口は、どちらが先という訳ではなく走り出した。

 駅はすぐそこだ。

 俺たちは二分ほど走って駅に到着した。

「どうだ」

 息を切らせて俺は問いかける。

 一口も同じく荒い息を整えながら線路を左右に見回す。

 駅自体には何もなかったが、右を向くとカーブの辺りで電車が横転している。

 減速できなかったんだ。

 走っているものにありがちな事故だが、電車の脱線を間近にすると本当にこれは現実なのかと視界が歪む。