「この女を手に入れた。これで我らはこの星に君臨する」

「立売堀さん」

「早苗?」

 いや、違う。その表情や目からは、人間ではない何かが溢れている。

「なんの冗談だよ」

 違うと解っていても、嘘だと思いたい。目の前の人間が人間じゃないなんて。

 この状況で考えられることは──

「いつから」

 いつから早苗に取り憑いていたんだ。

 まさか、

「まさか、あの日から?」

 滅びの始まり。あの日から早苗の脳にいたのか。

 早苗は何も答えず、俺たちに笑みを浮かべている。

 それだけでそれが真実だと、まざまざと言わしめている。

「お前たちの文化と知識、記憶を吸収するのは容易ではなかった」

 これでようやく、子どもたちを統率し、さらなる繁栄にいそしむことができるというもの。