「セスナ?」

 少し離れた場所にセスナの残骸が転がっていた。

 何かの原因でセスナが墜落し、送電線を切断したんだろう。

 これではどうしようもない。こうなればすっぱりと諦めて次を考えよう。

「おい。モリス、やめろ」

 セスナに近づくモリスを制止する。

 しかし、あいつは言うことをきかない。仕方なく俺も後を追った。

 操縦席のあたりをじっと見つめるモリスを怪訝に思い、視線を向ける。

「これ──」

「操縦している途中で食われたんだ」

 墜落の衝撃で割れた頭から虫がはみ出て死んでいた。

「なんなんだよ。ほんと」

 虫の正体は未だに解らない。