しかし状況は同じで、家に戻ると姉が襲いかかってきた。

 そうして逃げてきた先に蔵人を見つけたという訳だ。

「こんな状況でも助かったと思うのは、奴らの動きがのろいことか」

「奴らって、人間だろ」

「おまえ、あれが人間って言えるのかよ」

 指を差した先には、人間を食ってる奴がいた。結構、食べ進めていて俺は気分が悪くなる。

 確かに、一口(いもあらい)に呼ばれて隣人を食ってた友達の横を走り抜けたが、あいつはこっちをゆっくり向いて立ち上がっただけで俺はすでに一口と二件隣まで遠ざかっていた。

「これからどうしよう」

 一口は不安げにつぶやいた。

「俺だってわかんねえよ」

 今は、そう応えるだけで精一杯だった。