とりとめもなく歩いていると一人の女性に呼び止められた。

「どこから来たの?」

 彼女の名は立売堀(いたちぼり)早苗。背中までのカールした栗毛が綺麗な二十二歳。

「そうなんだ。結構、近い所に住んでるんだね」

 どうやら、この近くに無事な人が集まっている避難所があるらしい。彼女は、生き残っている人がいないかパトロールしているんだそうだ。

 因みにショットガンは目立ちすぎるため、モリスには拾ったコートで包んでもらっている。

 見ているだけで心強いものだが、どう考えても怖がる人はいる。

「小学校?」

「そうみたいだな」

正門には二十代くらいの男が二人、見張りをしていた。

 生き残りを連れてきたと早苗が告げると険しい表情をしていた青年たちは笑顔を返して中に通してくれた。

「学校はフェンスが張り巡らされているから安心なの」