「おい、なにしてる」

 とても信じられない光景に、俺は呆然とそうつぶやいた。扉を開けると、隣人が俺の友達に食べられていた。

 玄関先で男がうずくまっていて、何だろうと初めは思った。しかし、状況が解るにつれて頭は余計に混乱した。

 この状況を理解出来そうな人はいないかと辺りを見回す。

 しかし──

「無理だ」

 俺は愕然とした。

 気がつけば、周囲は阿鼻叫喚ではないか。眼前の状況だけで脳が精一杯で、周囲の音を聞き取れずにいたんだ。

 一体、何がどうしたというんだ。こんな光景は映画やドラマでしか知らないぞ。

 この先の行動が思いつかず呆然としていると、

「おい蔵人(くろど)! 何やってるんだよ。こっち!」