「一度だけね、もう何かもどうでも良くなって自殺しようとしたの。そしたらお母さんが...」
‘ なにやってんの!?なんでこんな馬鹿なことするの!貴方頭いいんだからこんな馬鹿みたいなことをしないで!’
「って、笑えるでしょ?死ぬことも、逃げることも許されない私は、お母さんのお人形同然だった。それからは何もかも諦めて、今はお母さんの仕事の手伝いをしてる。どう、引いた?」
「...」
そりゃそうだよね。こんな話引くに決まってる。
やっぱり人はみんな同じだ。いくらいい人でも、こんな話をしたらみんな逃げていくに決まってる。あぁ、話さなきゃよかった。
そう思ったのに...
「そっか...よく頑張ったな。」
そう言うと、私の頭には大きくて温かい手が乗せられた。
「引か、ないの...?」
「なんで?」
なんでって...
「死んでるのも変わらないただのお人形なんだよ?それなのに...」
「中島さんはお人形なんかじゃないだろ。だって、ちゃんと感情持ってんじゃん。」
感情...?
泣きも、笑いもしないのに?
「泣かなくたって、笑わなくたって、‘怒る’ ことは出来てるだろ?あんまり良くは無いけど、それも人として大切事だって、俺は思うけど?」
やっぱり不思議な人...
「それに、中島さんはよく頑張ったよ。だって死ななかったんだろ?いくらお母さんが言ったからって死ぬのは中島さんの自由だ。中島さんの身体は、もちろん誰のものでもないし、あ母さんのものでもない。中島さんの身体は、中島さん自身のものなんだから。まぁ、だからって死ぬのがいいとは思わないけどな。」
佐山くん、、、
「だから、よく頑張ったな。」
「あり、がとう。」
‘ありがとう’ なんて、言ったのは子供の時以来だ。
でも、この言葉が今の私の本心であることは違いない。
