「じゃあ、今から、会いに行くよ。」






チリンッという鈴の音共に、後ろから声が聞こえた気がする。
不思議に思って辺りを見渡すけど、いるのは首を傾げている親友たちしかいなくて。


「どうかした?」と聞かれるので、なんでもないよと答える。…けど、やっぱり変なの。


声が聞こえたと思ったんだけどな…理央の……。
て、理央はいま県跨いでるんだよ!!!ここにいるはずないよ!!!


もうひとりのわたしからの反論。
それもそうかー。とひとりで納得し、わたしは携帯をしまった。


その拍子に、携帯についているストラップが、チリンチリンとなった。
それをみて、詩奈からの疑問。






「凛、それは?」


「え? あ、これは………弟からのプレゼント!お揃いなんだー!」


「良いね理央くん。凛愛されてるねぇ。」


「まあねー。」







わたしの答えで笑いが広がる。
そうして皆で笑い合っていると、恒例のチャイムが鳴った。


今日はここまでかぁ。



残念だなーと辺りを見渡すと、朝練の人達もちらほら教室にいた。

だけど突然、勢いよくドアが開いて、みんなの視線を集める人がいた。






「あー重かったー!」






そこにいたのはクラスのムードメーカーである、土屋くんだった。

机と、その上に椅子を乗せているのを持ってきて。






「おいおい土屋ー。おまえ寝ぼけて、机持ってきたのかー?」


「馬鹿ちげーよ!!今日転入生がくんの。それで丁度いいから机持ってけって。」


「は!?転入生!?」






え、嘘!!!


土屋くんの友達の相川くんの驚きと、わたしの心の驚きはリンクする。

いや、わたしだけじゃないはずだ。
クラス中が驚きの声で埋まっていた。



もちろんわたしの親友たちもだ。






「転入生と言ったらー?かっこよくてー?」


「頭脳明晰ースポーツ万能でー?」


「みんなに優しい人気者でー?」


「宇宙人。」


「え?」


「宇宙人。」






菜奈が断固ときて宇宙人を譲らなかったところで、先生が入ってくる。


うちのクラスの先生、山口先生は、いつもおどおどしていて、あまりクラスの中に入ろうとはしない人。


だから土屋くんとか、相川くんとかは、先生に対して反発ばっかり。


でも今日は、みんなちゃんと席に着く。けど、心なしがそわそわしている。
山口先生は、教室に入ったらすぐに出席を取るのだが、今日は違うのはわかっている。






「み、みみんな、さっき、知ったとおっ、思うけど、てっ転入生を、しょ、紹介しま、す……。入ってきてください………。」






辿々しい先生の言葉にゆっくりと教室のドアが開いた。


そしてびっくり!入って来たのはめちゃくちゃかっこいい美少年!!


茶髪のような綺麗な髪の毛に、女の子よりも白い肌。
すらりとしたスタイルを持っている……。


クラスの女子の大半が、頰を赤くして彼をみた。
わたしもまじまじと彼を見つめる。すると、わかったことがひとつできた。


嘘………………。なんで?






「ね、ねぇ凛………あの子って………。」






目を見開いて前の席にいる咲が見てくる。
黒板に名前を書き、チョークを置くと皆を見渡した。

そして、彼は口を開く。






「初めまして。東京から来た山吹 理央です。よろしくお願いします。」






どうして理央が………ここにいるの!?


そんなわたしの心の声とは裏腹に、彼は美しく、笑っていた。