「で!誰なの!?この美少年くんは!」






菜美が鼻にティッシュを詰めながら聞いてくる。
女子高生の鼻にティッシュが…なんか残念。


わたしが奈美の鼻ティッシュに心を奪われていると、詩奈と咲が勝手な勘違いを始めた。







「な、なななに!?もしや…………か、かかかかか、彼氏、とか?」


「詩奈、動揺しすぎだよ。…てか、なに凛………惚気え?」






なんかわたしが口を出さないうちにすごい捏造されているんですけど。


奈美の鼻ティッシュを交換しながら、わらっていう。






「違う違う。この子はわたしの弟だよ!」






交換が終わった後に、ウェットティッシュで手を吹く。
拭き終わった後に詩奈と咲をみたら、目が大きく開いて口が少し開いてる変な顔。


面白くって、思わず写真に収めると、また顔に戻ってしまった。
そして戻って早々、咲がわたしの肩を掴み前後左右に揺さぶった。






「その人の名前携帯番号メアド生年月日彼女の有無を教えなさい!!!!!」


「やだ咲ちゃんこわーい。」


「でも、凛の家行ったときは、いなかったよね?」






あー、やっば墓穴掘ったわ。
この話、したくなかったんだよな。


しょうがないかとわたしら笑いながら、3人を見る。






「うち、パパとママ離婚して、弟はパパのとこに居るんだよね。」






すると、いままで笑顔だった彼女たちがいなくなった。
この空気がずっと苦手で、わたしは今まで言わなかった。


中学のときもそれが原因でみんなから避けられて、ほとんどぼっち生活だった。
親友だと思ってた子からも、距離を置かれていた。






「あーなるほどね。」


「え?」


「だから凛ん家行った時、マミーしかいなかったんだ。」






咲の呑気な声に、ふたりは確かに!という顔をする。
思わず、目から涙が出そうになった。