「橋本くん、なんで私を選んだの?
本当最悪。これが本性だなんて知りたくなかった!」
少しきつめに言った私。
すると橋本くんは一瞬笑顔がなくなり、私には切なげな表情をしているように見えて………
ちょっと言いすぎたかも。
だから謝ろうと思った時、また橋本くんが悪そうな笑みで話し出した。
「だってお前、表の顔の俺が好きなんだろ?
じゃあいいじゃん。学校ではその俺なんだし。」
この人は………!
そうだけど、そうだけどさ……!!
「なら裏の顔を見せないでください!」
「へぇ、昨日あんな照れてなのに?
嫌なら照れねぇだろ普通。」
「それは恋愛に疎いからだよ……!」
「てことは彼氏いたことねぇんだ?」
うっ………!
橋本くんは私を苦しめる言葉ばっか使ってくる……!!
「そんなのいたことないに決まってるよ!
橋本くんみたいに恋人選び放題じゃないんで………きゃっ!」
そしたら突然橋本くんが私を引き寄せ、抱きしめてきた。
「は、橋本くん!?ここ駅だよ?」
「早いからほとんど人なんていねぇよ。」
それだけ言ってぎゅうってきつく私を抱きしめる。
だけど全然嫌じゃなく、胸が高鳴ってしまう自分が悔しい。
「じゃあお前の初めての彼氏が俺なのか。」
「………そう、なるけど………。」
だけど橋本くんは全然好きじゃないんでしょ?
その言葉は言わずに飲み込んだ。
それに橋本くんの言い方で感情は読み取れない。
私の初めての彼氏が橋本くんだから嫌っていうようには聞こえなかったんだけど……
………って、もしかして恋愛初心者だから楽しめそうとかつて思ってたり……!?
橋本くんだからありえそうだ。