「…………なんで、千紗ちゃんが泣いてるんだろうな。それになんで説教されてんだろうな。」
沈黙を破ったのは悠河くん。
悠河くんは私から離れた。
「そんな単純なことが、なんで俺にはできないんだろう。」
「………自分の答えは気づいてるのにいつまでも逃げてるからだよ。」
私がそう言うと悠河くんは笑った。
「中々厳しいこと言うなぁ。」
明らかにさっきまでの悠河くんとは違う気がした。
「……うん、なんか吹っ切れた。
すぐには変われねぇと思うけど。」
「それは悠河くん次第だね。」
悠河くんはまた笑う。
今の千紗ちゃんはきついや、と言いながら。
「こんな俺や花音のために泣いて怒ってくれる子がいるんだな。
案外恵まれてるかも。
橋本もいい女を捕まえたね。」
「だって悠河くんがいきなり浮気しようってわけのわからないことを言いだすから……!」
「どうにでもなれって本気で思ったんだけどな。やっぱり俺も千紗ちゃんには敵わないらしい。」
「……俺も?それってどういうこと?」
「………橋本も千紗ちゃんには敵わないみたいだよ?」
そう悠河くんが言ったところで観覧車が一周し、私たちは降りる。



