〈橋本 和也side〉


「……あのー………和くん?」
「…………。」


「やっぱり怒ってるよね。ごめんなさい………。」
「…………。」


俺が黙っていると怒ってると思ったのか、目の前であたふたするちーちゃん。


可愛い、愛おしい。
抱きしめたい、キスしたい。


………くそっ、ダメだ。
俺は今怒ってるんだから。


余計なことばかり考えてつい許してしまいそうになる。


けどちーちゃんはわかってないんだ。


あの深山という人間が危険だってことに。
だからこうでもしないとわかんねぇだろ?


「でもね、和くんにも協力してほしくて……」


しゅん、と落ち込む姿が子犬のように見える。


あー、だからダメなんだって。