「でもこの髪を見せるために来たんじゃないんだよね。」
「……?じゃあ何の用ですか?」
ここまで私が言うと急に悠河くんに腕を持たれ、引き寄せられる。
「……!?悠河くん!?」
また周りが騒がしくなった。
今度は男子も含めて。
これは周りに誤解されてしまう。
急いで離れようとしたけど力が強くて敵わない。
「悠河くん!冗談は良くないよ?」
「冗談じゃないよ。
………なーんか怪しいんだよね。橋本と千紗ちゃんの関係が。」
悠河くんがじっと和くんを見つめた。
和くんはというと、すごく感情を抑えていて逆に冷静にも見える。
「………深山、先輩ですよね?
中山さんは俺の彼女なんで離してもらえませんか?」
少し困ったように笑いながら言う和くんだけどそれが逆に怖い。
「嫌だよ。それにほら、今も苗字呼び。
本当に付き合ってる?」
なにかを探るようにしている悠河くんの目的がわからない。



