「なんでこんな話、あんたにしてんだろうね。
私はひねくれてるってわかってるからお姉ちゃんの一途さが羨ましいけど、同時に見てて私まで苦しくなる。
ねぇ、お願い。
こんなことあんたに頼むのは変だってわかってるけど………どうにかできないかな?
これ以上お姉ちゃんに辛い思いさせたくない。」
桐沢さんの苦しさ、切なさが伝わってくる。
妹という立場だけど、一番近くで花音さんを見てて桐沢さん自身も辛いんだなって。
だけど……
「どうすればいいのかな………。」
「…………悠河さんの、気持ちとかって聞けたりしない……?」
悠河くんの気持ち、か。
「もう昔みたいな関係じゃないから難しいかもしれないけど………私も考えてみるね。」
「………中山さん………。」
桐沢さんが私の名前を呼んだところで駅に着いた。
「中山さんは?私と同じ右方面?」
「いや、私は左方面。」
「じゃあ逆か。
…………中山さん、本当にありがとう。
今日あなたと話して私が一番バカで愚かっていうことにやっと気づけた気がする。前はごめんね。」
そう言って桐沢さんは照れ隠し、のようにそそくさと去っていった。



