「千紗ちゃん、この人が俺の婚約者の花音。」
「桐沢 花音です。よろしくね。
千紗ちゃんは悠河と仲良いのね。」
その言葉は嫉妬、とは何か違うように感じた。
少し悲しさが含まれているような、切なげに笑う花音さんが目に入る。
「もしかして中山さん、橋本くんがいるくせに悠河さんも狙ってるの?だとしたら本気で許さないから。」
「詩音。あなた許してもらったからってすぐそんなことを言わない。
千紗ちゃんが優しいから許してくれただけだってことぐらい理解しなさい。」
なんか完璧に桐沢さんに敵対視されてる………。
「花音、覚えてない?
俺たちが小4の時に俺と仲良くしてた女の子。それが千紗ちゃんだよ。」
「………あ、なんとなくだけどわかったかも。」
そっか。
花音さんっていつも悠河くんの隣にいた女の子だったんだよね。
その人が婚約者って………やっぱり政略結婚じゃないよね。



